6月の労働保険年度更新に向けた準備チェックリスト

目次

  1. 労働保険年度更新の準備とは
  2. 5月の準備スケジュール
  3. 賃金集計のチェックポイント
  4. e-Gov電子申請の準備
  5. 社労士・税理士との連携
  6. よくある質問
  7. まとめ

労働保険年度更新の準備とは、6月1日〜7月10日の年度更新申告期間(労働保険徴収法第19条)に向けて、5月中に前年度(2025年4月〜2026年3月)の賃金集計と当年度概算賃金の算定、申告書類・電子申請環境の整備を行う事前作業を指します。年度更新は労災保険と雇用保険の保険料を一括で申告納付する手続きで、書類提出と保険料納付の遅延は延滞金の対象となるため、5月の準備品質が業務の質を左右します。GW明けから集計を開始し、5月末までに賃金台帳の確定と社労士・税理士との連携を整えることで、6月以降の繁忙期にスムーズに突入できます。本記事では、年度更新準備のチェックリストと実務ポイントを税理士法人みらいが整理します。

労働保険年度更新の準備とは

年度更新の本作業(6/1〜7/10)に先立って、5月に完了させるべき準備項目は以下の通りです。

準備項目内容
賃金台帳の集計前年度4月〜翌3月分の月別・年間集計
労災・雇用の区分対象賃金と被保険者の整理
当年度概算賃金見込賃金総額の算定
申告書類の確認労働局からの送付書類受領(5月下旬〜6月上旬)
電子申請環境e-Govアカウント・電子証明書の確認
納付資金の確保資金繰り計画への反映

年度更新の本実務は労働保険年度更新の実務|2026年度の手続きと電子申請で詳しく整理しています。

5月の準備スケジュール

5月の標準的な準備スケジュールは以下の通りです。

時期主な準備
5月上旬(GW明け)賃金台帳の月別集計開始(2025年4月分から順次)
5月中旬役員区分・退職者・新規採用者の整理
5月中下旬労災対象賃金・雇用対象賃金の区分、年間集計の確定
5月下旬当年度概算賃金の算定、社労士・税理士との打合せ
5月下旬〜6月上旬労働局から申告書類が事業所に到着
6月1日〜本実務開始(申告書作成・提出)

5月の経理タスク全体は5月にやるべき経理タスク総まとめもご参照ください。

賃金集計のチェックポイント

賃金集計は年度更新の中核作業で、ミスが起こりやすい論点を整理します。

労災保険の対象賃金

  • 賃金、給料、手当、賞与その他名称を問わず労働の対償として支払われるもの
  • 役員報酬は原則対象外(兼務役員の労働者部分のみ対象)
  • 退職金は対象外
  • 通勤手当・出張手当・家族手当は対象
  • 結婚祝金等の一時金は原則対象外

雇用保険の対象賃金

  • 労災保険と同じ範囲
  • 対象労働者は雇用保険被保険者に限定
  • 2020年4月以降、65歳以上も高年齢被保険者として対象
  • 役員(兼務役員除く)は対象外
  • 適用除外(学生アルバイト等)は対象外

頻出ミスの例

  • 役員賃金の混入(兼務役員の労働者部分の按分が不適切)
  • 退職金の混入
  • 役員のみで雇用保険被保険者がいないにも関わらず雇用保険分を計上
  • 2026年度の雇用保険料率改定の反映漏れ(2026年度雇用保険料率改定への実務対応参照)

e-Gov電子申請の準備

e-Gov電子申請を活用する場合、5月中に以下の準備を完了させます。

  • e-Govアカウント:未取得の場合は早めに登録(数日かかるケースあり)
  • 電子証明書:法人代表者の電子証明書、または社労士の電子証明書の有効期限確認(更新は数週間かかるため早めに)
  • e-Gov電子申請アプリ:最新版のインストール
  • 申告データ作成ソフト:給与計算ソフトに搭載された年度更新機能の確認
  • 納付方法の選択:Pay-easy、ネットバンキング、口座振替の事前設定

電子申請のメリットは、24時間提出可能・添付書類の電子化・申告控えの即時取得・書類郵送遅延リスクの回避です。中小企業でも年々利用率が向上しています。

社労士・税理士との連携

年度更新は社労士の独占業務ではなく、事業主が自ら申告することも、税理士・行政書士に委任することも可能です。専門家活用のパターンは以下の通りです。

  • 社労士に一括依頼:賃金集計・申告書作成・電子申請まですべて代行
  • 税理士に依頼:会計顧問の延長で賃金集計まで対応、申告は社労士または事業主
  • 事業主が直接対応:給与計算ソフトの年度更新機能を活用して自社完結

5月中に専門家との役割分担を明確化し、必要なデータ・書類の引き渡しスケジュールを確定することで、6月以降の進行がスムーズになります。住民税特別徴収切替(6月開始の住民税特別徴収切替実務)と並行する時期のため、給与計算担当者の負荷分散が重要です。

よくある質問

Q. 5月中に申告書が届かない場合は?

A. 5月中下旬から6月上旬にかけて順次到着します。6月10日を過ぎても未着の場合は所轄労働基準監督署に問い合わせます。電子申請の場合は申告書類の郵送がなくてもe-Govから直接申告可能です。

Q. 一人会社で従業員がいない場合は?

A. 労働者を1人も雇用していない場合、労働保険の適用事業ではないため年度更新は不要です。役員のみの法人で雇用保険被保険者が在籍する場合は、雇用保険のみの年度更新を行います。

Q. 概算賃金を低めに見積もっても問題ない?

A. 賃金見込みが当初の2倍を超えかつ差額が13万円以上となる場合、増加概算保険料の申告が必要です(労働保険徴収法第17条)。極端に低い見積もりは追加申告のリスクを生じます。前年度実績の100〜200%の範囲内が標準です。

まとめ

労働保険年度更新の準備は、5月のGW明けから始める計画的作業が鍵です。賃金台帳の集計、労災・雇用の区分、当年度概算賃金の算定、e-Gov電子申請の環境整備、社労士・税理士との連携といった準備項目を5月中に完了させることで、6月1日〜7月10日の本実務にスムーズに突入できます。住民税特別徴収切替(6月開始の住民税特別徴収切替実務)、5月決算法人の決算(5月決算法人の決算実務)と並行する繁忙期だからこそ、専門家との役割分担と業務の早期着手が業務品質と従業員負担の両面で重要となります。なお、個別事案は必ず税理士・社会保険労務士にご相談ください。

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市/名古屋支店)。昭和58年開業、平成18年法人化。ISO9001認証取得。元国税局OB税理士を含む15名以上の税理士が在籍し、法人・個人の税務会計をワンストップでサポートしています。

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