雇用保険料率は、厚生労働省が毎年度の雇用情勢や積立金残高などを踏まえて見直しを行います。料率改定は毎年4月からの適用が一般的で、給与計算システムの設定変更・従業員への通知など、人事労務の実務に直結します。本記事では、2026年度の改定と実務対応のポイントを整理します。
雇用保険料率の仕組み
雇用保険料は、労働者と事業主が負担する「失業等給付・育児休業給付」の保険料と、事業主のみが負担する「雇用保険二事業」の保険料から構成されます。料率は業種区分に応じて異なり、「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」の3区分で設定されています。
| 項目 | 負担者 | 用途 |
|---|---|---|
| 失業等給付・育児休業給付分 | 労働者と事業主(折半) | 基本手当、育児休業給付等 |
| 雇用保険二事業分 | 事業主のみ | 雇用安定事業、能力開発事業 |
料率は年度ごとに厚生労働省告示で公表されるため、最新年度の正確な料率は必ず厚生労働省発表資料をご確認ください。当事務所でも、毎年3月に顧問先へ最新料率表をご案内しています。
2026年度の料率と影響額
2026年度(令和8年度)の雇用保険料率は、2025年度の水準を基本的に維持しつつ、一部に見直しが行われる見通しです。厚生労働省が正式告示する数値を基に、以下の手順で影響額を試算します。
- 各従業員の月額給与・年間給与見込額を集計
- 労働者負担分の料率を乗じて控除額を算出
- 事業主負担分(労働者分+二事業分)を会社負担として予算計上
- 昨年度との比較で差額をシミュレーション
例えば、月額給与30万円の従業員について、労働者負担料率が0.1%上昇した場合、月300円、年間3,600円の負担増となります。従業員50名規模では年間18万円程度の影響です。
給与計算システムへの設定変更
給与計算システム(freee人事労務、マネーフォワードクラウド給与、給与奉行、給与大臣など)は、通常2026年4月支給分の給与から新料率が自動適用されます。ただし、カスタマイズ設定を行っている場合は手動反映が必要な場合もあるため、以下の手順で確認してください。
- ベンダー発表の「2026年度料率アップデート」告知の確認
- システム内の料率マスタ(雇用保険料率)の更新有無の確認
- テスト給与計算で1〜2名の控除額を手計算と突合
- 3月末〜4月初旬の給与計算サイクルに余裕を持って検証
外部委託(給与計算代行)している場合も、委託先と料率改定時期の確認は必須です。法人向け税務顧問サービスでは、給与計算ソフトの料率チェックもセットで対応しています。
労働保険料の年度更新スケジュール
労働保険料(労災保険料+雇用保険料)は、毎年6月1日〜7月10日に年度更新手続きを行います。年度更新では、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料をあわせて申告・納付します。
Q. 年度更新に必要な資料は?
A. 労働者名簿、賃金台帳、前年度の年末調整資料、出勤簿、2026年4月以降の給与見込額などです。雇用保険料率改定後は、概算保険料の算出で新料率を反映する必要があります。
Q. 分割納付はできますか?
A. 概算保険料が40万円以上(労災・雇用いずれか一方のみの場合は20万円以上)の場合、3回に分割納付できます(7月・10月・翌年1月の納期限)。
従業員への周知と確認事項
雇用保険料率の改定は、従業員の給与明細に反映されます。4月給与明細で控除額が前月と異なる理由について、以下のような周知を行うと従業員の理解を得やすくなります。
- 社内掲示・給与明細通知書への注記
- 改定内容と料率変更の理由(雇用保険の運営状況等)
- 健康保険料・介護保険料などほかの社会保険料改定との整理
社会保険料全般の仕組みは社会保険料の仕組みと経営への影響で詳しく解説しています。年度更新や社会保険関係の個別判断は、社会保険労務士・税理士にご相談ください。
まとめ
2026年度の雇用保険料率改定は、給与計算・労働保険年度更新・人件費予算の3つに影響します。料率は厚生労働省の告示で正式に決まるため、最新情報を必ず確認し、給与計算システム・年度更新資料・従業員への周知を計画的に進めましょう。税理士法人みらいでは、顧問先の給与計算サポートの一環として、毎年の料率改定対応を行っています。