お盆の帰省で話しておきたい相続の準備|親と確認する5つのこと

目次

  1. なぜお盆に話すとよいのか
  2. 確認しておきたい5つのこと
  3. そもそも相続税がかかるかを知る
  4. 切り出し方のコツ
  5. よくある質問
  6. まとめ

相続の準備とは、財産の全体像を把握し、誰に何をどう引き継ぐかを生前に決めておく取り組みです。相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内と短く、財産の把握に手間取ると納税資金の準備が間に合いません。家族が揃うお盆は、この話を切り出せる数少ない機会です。当事務所へのご相談でも「もっと早く聞いておけばよかった」という声を毎年いただきます。

なぜお盆に話すとよいのか

相続の話は、当事者が元気なうちでなければ進みません。認知症などで判断能力が低下すると、遺言の作成や生前贈与、不動産の売却といった対策がとれなくなります。また、相続人が全国に散らばっている場合、全員が顔を合わせられる機会は限られます。

お盆は、当人の意向を直接聞き、兄弟姉妹の間で認識をそろえられる貴重なタイミングです。「財産が欲しい」という話ではなく、「万一のときに困らないように」という切り口で始めると受け入れられやすくなります。

確認しておきたい5つのこと

1. どこに何の財産があるか

預貯金の金融機関名、不動産の所在、証券口座、生命保険の契約先などを一覧にします。金額まで聞き出す必要はなく、「どこにあるか」がわかるだけで手続きの負担は大きく減ります。近年はネット銀行・ネット証券が把握できず、探すのに苦労するケースが増えています。

2. 借入金や連帯保証の有無

相続では借金も引き継がれます。事業用の借入や連帯保証があると、相続放棄を検討すべき場合もあります。放棄には相続開始を知った時から3か月以内という期限があるため、早期の把握が重要です。

3. 遺言書があるか、作る意向があるか

遺言があれば分割協議の負担が大きく減ります。自筆証書遺言は法務局の保管制度を利用でき、公正証書遺言は無効になりにくいという特徴があります。なお、遺言書の作成そのものや遺産分割協議の代理は弁護士・司法書士の業務となるため、当事務所では税務面からの検討を行い、必要に応じて提携する専門家と連携します。

4. 自宅などの不動産をどうしたいか

不動産は分けにくく、もめる原因になりやすい財産です。誰が住み続けるのか、売却するのかによって、使える特例も変わります。小規模宅地等の特例が使えるかどうかで税額が大きく変わることもあります。

5. 納税資金があるか

相続税は原則として現金で一括納付です。財産の大半が不動産だと、納税資金が足りずに慌てて売却することになりかねません。生命保険の活用など、事前に手当てできる方法があります。

そもそも相続税がかかるかを知る

相続税には基礎控除があり、遺産総額がこれを下回れば申告も納税も不要です。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

  • 相続人が配偶者と子2人(3人)の場合:3,000万円 + 1,800万円 = 4,800万円
  • 相続人が子1人の場合:3,000万円 + 600万円 = 3,600万円

自宅の評価額が高い都市部では、預貯金が多くなくても基礎控除を超えることがあります。西東京市・練馬区など都内近郊では、まず概算だけでも把握しておくと安心です。なお、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用して税額がゼロになる場合でも、申告は必要です。

切り出し方のコツ

いきなり財産の話をすると警戒されがちです。次のような入り方が受け入れられやすいでしょう。

  • 「入院したときに保険証や通帳がどこにあるかわからないと困るから」と実務的な話から入る
  • ニュースや知人の相続トラブルを話題にして、一般論から始める
  • エンディングノートを一緒に書いてみる
  • 兄弟姉妹の誰か1人が抜け駆けしていると見られないよう、全員がいる場で話す

その場で結論を出す必要はありません。「何がわからないかがわかった」だけでも大きな前進です。

よくある質問

Q. 相続税がかかるかどうかはどう判断しますか?

A. 遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかが目安です。相続人が3人なら4,800万円が基礎控除額となります。土地は路線価、建物は固定資産税評価額をもとに評価するため、実際の売買価格とは異なります。都市部では自宅だけで基礎控除を超えることもあるため、概算での把握をおすすめします。

Q. 相続の相談は誰にすればよいですか?

A. 相続税の試算や申告、生前の税務対策は税理士の業務です。遺産分割協議で争いがある場合は弁護士、不動産の相続登記は司法書士が担当します。当事務所では税務面からの検討を行い、登記や紛争解決が必要な場合は提携する司法書士・弁護士と連携してご対応します。まず全体像を整理したいという段階でもご相談いただけます。

Q. 親が話したがらない場合はどうすればよいですか?

A. 財産の額を聞き出そうとせず、「どこに何があるか」の所在確認から始めるのが現実的です。入院や介護が必要になったときに家族が困らないため、という実務的な理由であれば受け入れられやすくなります。エンディングノートを一緒に書く形にすると、相続の話という構えがなくなり進めやすい場合があります。

まとめ

相続の準備は、当事者が元気なうちにしか進められません。お盆の帰省は、財産の所在・借入の有無・遺言の意向・不動産の希望・納税資金の5点を確認できる貴重な機会です。基礎控除を超えそうかどうかの概算だけでも把握しておけば、いざというときの選択肢が大きく広がります。

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市)。昭和58年開業、平成18年法人化。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名と税務・会計スタッフを合わせた総勢17名の体制で、相続税の試算と生前対策、相続税申告、書面添付制度を活用した申告をサポートしています。

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出典・参考

国税庁「相続税のあらまし」「相続税の申告のしかた」、法務省「自筆証書遺言書保管制度」/e-Gov法令検索。本記事は2026年8月時点で公表されている法令等にもとづく一般的な解説です。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取扱いが異なります。実際のご判断にあたっては最新の公表内容をご確認いただくか、税理士にご相談ください。本記事の情報にもとづく行為により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。

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