賞与支給時の社会保険料・源泉所得税の計算と実務

目次

  1. 賞与にかかる社会保険料・源泉所得税とは
  2. 社会保険料の計算と上限
  3. 源泉所得税の計算手順
  4. 賞与支払届と納付スケジュール
  5. 計算でよくあるミス
  6. よくある質問
  7. まとめ

賞与にかかる社会保険料・源泉所得税とは、賞与(ボーナス)を支給する際に、健康保険・厚生年金保険などの社会保険料と所得税の源泉徴収税額を計算し、本人負担分を控除して納付・納入する一連の実務をいいます。賞与は毎月の給与とは計算ロジックが異なり、社会保険料は標準賞与額(1,000円未満切捨て)に保険料率を乗じ、源泉所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて前月給与を基準に税率を決定します。夏季賞与の支給時期に当たる6〜7月は、計算ミスや上限の適用漏れが起こりやすいため、正確な手順の確認が重要です。本記事では、賞与の社会保険料と源泉所得税の計算実務を税理士法人みらいが整理します。

賞与にかかる社会保険料・源泉所得税とは

賞与から控除する主な項目は、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・源泉所得税です。住民税は賞与から控除しません(毎月の給与から特別徴収)。

控除項目計算の基礎
健康保険・介護保険標準賞与額 × 保険料率(労使折半)
厚生年金保険標準賞与額 × 保険料率(労使折半)
雇用保険賞与総額 × 雇用保険料率(本人負担分)
源泉所得税算出率の表により決定した税率

社会保険料の基礎は社会保険料の仕組みと経営への影響もご参照ください。

社会保険料の計算と上限

社会保険料は、賞与額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に保険料率を乗じて算定します。上限が法定されている点に注意します。

区分標準賞与額の上限
健康保険(介護保険含む)年度累計573万円(健康保険法第45条)
厚生年金保険1か月あたり150万円(厚生年金保険法第24条の4)

保険料率は都道府県・年度により異なります。最新の料率は全国健康保険協会(協会けんぽ)や日本年金機構の公表値をご確認ください。介護保険は40歳以上65歳未満の被保険者が対象です。

源泉所得税の計算手順

賞与の源泉所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用います。手順は以下の通りです。

  • STEP1:前月の給与から社会保険料を控除した後の金額を確認
  • STEP2:扶養親族等の数とSTEP1の金額から、算出率の表で税率を求める
  • STEP3:賞与額から賞与にかかる社会保険料を控除した金額を算定
  • STEP4:STEP3 × STEP2の税率 = 源泉所得税額

前月に給与がない場合や、賞与が前月給与の10倍を超える場合は、月額表を用いる特例的な計算方法によります。詳細は国税庁の源泉徴収のあらましをご確認ください。

賞与支払届と納付スケジュール

賞与支給後は、届出と納付を期限内に行います。

手続き期限・提出先
賞与支払届支給後5日以内/日本年金機構(事務センター・年金事務所)
源泉所得税の納付翌月10日(納期特例事業所は1月・7月)
社会保険料の納付当月分として翌月末に口座振替

計算でよくあるミス

  • 標準賞与額の1,000円未満切捨ての失念
  • 健康保険573万円・厚生年金150万円の上限適用漏れ
  • 源泉税の税率決定に当月給与を使ってしまう(正しくは前月給与)
  • 退職予定者・産休者など資格喪失時期の判定誤り
  • 雇用保険料を社会保険料控除後ではなく総額に対して正しく計算できていない

よくある質問

Q. 賞与支給月に退職する人の社会保険料は?

A. 資格喪失日(退職日の翌日)の属する月の前月までが保険料の対象です。月末退職か月途中退職かで賞与にかかる保険料の要否が変わるため、支給日と退職日の関係を必ず確認します。

Q. 年4回以上賞与を支給する場合は?

A. 年4回以上支給される賞与は、社会保険上は標準報酬月額(給与)に含めて取り扱われ、賞与としての保険料計算とは異なります。賞与の回数設計は社会保険料に影響するため注意が必要です。

Q. 決算賞与も同じ計算ですか?

A. 社会保険料・源泉所得税の計算方法は通常の賞与と同様です。ただし損金算入時期など税務上の論点があるため、中小企業の決算賞与の税務処理と支給判断も併せてご確認ください。

まとめ

賞与の社会保険料は標準賞与額(1,000円未満切捨て)に保険料率を乗じ、健康保険年573万円・厚生年金月150万円の上限を適用します。源泉所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用い、前月給与の社会保険料控除後の金額で税率を決定します。夏季賞与の繁忙期は計算ミスや上限の適用漏れが起こりやすいため、手順を標準化し、賞与支払届(支給後5日以内)と源泉所得税の納付期限を確実に守ることが重要です。なお、保険料率の最新値は協会けんぽ・日本年金機構の公表値をご確認のうえ、個別事案は税理士・社会保険労務士にご相談ください。

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市/名古屋支店)。昭和58年開業、平成18年法人化。ISO9001認証取得。元国税局OB税理士を含む15名以上の税理士が在籍し、法人・個人の税務会計をワンストップでサポートしています。

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