赤池三男第174号「仮名・借名の話」

東京都内の資産家の過去の事例です。外国債の利息の申告漏れが1億円以上あったケースで、この事例は本人名義の取引ではなく家族等の名義で行われていた仮名・借名取引でした。仮名取引とは、架空の名義や他人の名義を使用して取引を行うことで、借名取引とは、本人以外の名前で口座を開設し、本人がその口座を使用して取引を行うことです。

税法では「実質所得者課税の原則」(所得税法第12条、法人税法第11条)があり、資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、他の者がこれを享受する場合には、その収益はこれを享受する者に帰属するものとして課税されます。つまり、名義に関係なく、実質的にその所得を得ている人に課税されるのです。

仮名・借名預金は相続税でも問題になります。相続税の税務調査では、被相続人名義以外の預金(家族名義の預金等)が実質的に被相続人のものではないかという観点から調査されることがあります。名義預金として認定されると、相続財産に加算されることになります。

名義預金かどうかの判断基準としては、預金の原資は誰が出したか、口座の管理・運用は誰が行っていたか、預金の利息は誰のものか、名義人は口座の存在を知っていたかなどが総合的に勘案されます。

なお、仮名取引・借名取引は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等で禁止されており、法令違反となる場合があります。金融機関でも口座開設時の本人確認が厳格化されています。マネー・ローンダリングの観点からも、仮名・借名口座は厳しく取り締まられています。 赤池 三男 税理士・行政書士

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