2026年(令和8年)税制改正大綱のポイント解説

毎年12月に発表される税制改正大綱は、翌年度以降の税制の方向性を示す重要な指針です。2026年度(令和8年度)の税制改正大綱においても、経済情勢や社会課題に対応するさまざまな措置が盛り込まれています。

本記事では、個人・法人に影響のある主要な改正ポイントを解説します。

ご注意:本記事は2026年度税制改正大綱に基づく解説です。改正内容は国会での法案成立を経て確定します。最新の情報は国税庁のウェブサイト等でご確認ください。

防衛力強化に関する税制措置

防衛力の抜本的な強化に必要な財源を確保するため、税制面での措置が段階的に進められています。2026年度改正では、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置について、具体的な実施時期や制度設計に関する議論が進められました。

法人税における付加税

防衛力強化特別税として、法人税額に対する付加税の導入が検討されています。中小企業への影響を考慮し、法人税額から一定額(500万円)を控除した上で付加税率を適用する仕組みが想定されています。

中小企業にとっては、控除額の設定により実質的な負担が軽減される設計となっていますが、具体的な税率や開始時期については引き続き注視が必要です。

所得税・たばこ税における措置

所得税においても、復興特別所得税の税率調整と合わせた防衛財源の確保策が検討されています。また、たばこ税の段階的な引上げについても議論が進んでいます。

子育て支援に関する税制

少子化対策の一環として、子育て世帯を支援するための税制措置の拡充が図られています。

扶養控除・児童手当の見直し

児童手当の拡充(高校生年代への支給拡大)に伴い、16歳から18歳の扶養控除の見直しが行われています。児童手当と扶養控除の関係について、子育て世帯の実質的な負担が増加しないよう配慮した制度設計が進められています。

住宅取得支援

子育て世帯や若者夫婦世帯に対する住宅ローン控除の借入限度額の上乗せ措置について、制度の延長・拡充が検討されています。省エネ性能の高い住宅の取得を後押しする観点から、環境性能に応じた優遇措置が設けられています。

個人所得課税の改正ポイント

給与所得控除・基礎控除の見直し

「年収の壁」問題への対応として、基礎控除額や給与所得控除の見直しが進められています。働き方に中立的な税制の実現に向けて、控除額の引上げや制度の簡素化が検討されています。

これらの改正は、パートタイム労働者の就業調整を緩和し、人手不足の解消にも寄与することが期待されています。

退職所得課税の見直し

労働移動の円滑化を促進するため、退職所得課税における勤続年数に応じた控除額の計算方法の見直しが引き続き議論されています。現行制度では勤続20年超で控除額が大きくなる仕組みですが、転職者に不利にならない制度設計が模索されています。

中小企業向け税制措置

中小企業投資促進税制の延長・拡充

中小企業の設備投資を支援する中小企業投資促進税制について、適用期限の延長が行われています。デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)に対応した設備投資を後押しする措置が拡充されています。

賃上げ促進税制の拡充

従業員の給与引上げを促進するための税制措置として、賃上げ促進税制の拡充が図られています。特に中小企業については、より高い控除率の適用や、教育訓練費の増加に対する上乗せ措置などが設けられています。

賃上げ実施企業に対する税額控除の拡大は、人材確保や従業員の定着にも寄与するものと考えられます。

交際費等の損金不算入制度

中小法人の交際費課税の特例(年800万円まで全額損金算入)の適用期限の延長が見込まれています。また、飲食費に係る損金算入の基準額についても見直しの議論が行われています。

資産課税の改正ポイント

事業承継税制

中小企業の円滑な事業承継を支援する事業承継税制について、特例措置の適用要件の見直しや手続きの簡素化が検討されています。後継者不足による廃業を防止し、雇用や技術を守る観点から、制度の使い勝手の向上が図られています。

相続時精算課税制度

2024年から導入された相続時精算課税制度における年110万円の基礎控除について、制度の周知と利用促進が進められています。暦年課税との選択制のもと、計画的な資産移転を支援する仕組みの定着が期待されています。

国際課税への対応

経済のグローバル化に対応するため、国際的な課税ルールの見直しが引き続き進められています。

  • グローバル・ミニマム課税:多国籍企業に対する最低税率(15%)の適用に関する国内法の整備が進んでいます。
  • 移転価格税制:国際的な取引における適正な利益配分を確保するための規定の見直しが検討されています。
  • CRS(共通報告基準):金融口座情報の自動的交換に関する制度の拡充が進められています。

電子化・デジタル化への対応

税務手続きのデジタル化を推進するための措置も継続して講じられています。

  • 電子帳簿保存法に基づく電子取引データの保存義務への対応支援
  • e-Tax利用率の向上に向けた環境整備
  • AIやクラウドを活用した税務申告の簡素化

まとめ:事業者が取るべき対応

2026年度の税制改正は、防衛財源の確保、子育て支援、中小企業の活性化、国際課税への対応など、多岐にわたる分野で重要な変更が行われています。

事業者の皆さまにおいては、以下の点に留意して対応を進めることをお勧めします。

  • 改正内容を早期に把握し、自社への影響を分析する
  • 賃上げ促進税制や投資促進税制など、活用可能な制度を検討する
  • 電子帳簿保存法への対応など、デジタル化への備えを進める
  • 事業承継を検討している場合は、税制優遇措置の活用を計画する

税理士法人みらいでは、税制改正の影響分析や対応策のご提案を行っております。お客様の事業内容に応じた最適なアドバイスをさせていただきます。税制改正への対応でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら