相続税の基礎知識|基礎控除から申告まで

相続税は、亡くなった方(被相続人)の財産を相続や遺贈によって取得した際にかかる税金です。2015年(平成27年)の税制改正で基礎控除額が引き下げられたことにより、相続税の申告が必要となる方が大幅に増加しました。

本記事では、相続税の基礎控除、税率、申告期限、主要な特例制度について、わかりやすく解説いたします。

相続税の基礎控除とは

相続税には「基礎控除」が設けられており、遺産の総額がこの基礎控除額を超える場合にのみ相続税が課税されます。

基礎控除額の計算式:

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、基礎控除額は以下のとおりです。

3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

この場合、遺産の総額が4,800万円以下であれば相続税はかからず、申告も不要です。

法定相続人の数え方

基礎控除の計算における法定相続人の数には、以下のルールがあります。

  • 相続放棄をした人がいても、放棄がなかったものとして数える
  • 養子がいる場合、実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人まで法定相続人に含める

相続税の税率

相続税の税率は、各相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定した場合の取得金額に対して、以下の8段階の超過累進税率が適用されます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

相続税の計算の流れ

相続税の計算は、以下の手順で行います。

ステップ1:課税遺産総額の計算

遺産の総額(正味の遺産額)から基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を算出します。

課税遺産総額 = 正味の遺産額 - 基礎控除額

ステップ2:相続税の総額の計算

課税遺産総額を法定相続分で按分し、各相続人の取得金額に対して税率を適用します。算出された各人の仮の税額を合計したものが「相続税の総額」です。

ステップ3:各相続人の相続税額の計算

相続税の総額を、実際の遺産の取得割合に応じて各相続人に按分します。

ステップ4:税額控除の適用

配偶者の税額軽減や未成年者控除などの税額控除を適用し、最終的な納付税額を算出します。

配偶者の税額軽減

配偶者が相続により取得した遺産額が、次のいずれか多い金額までは配偶者に相続税がかからない特例制度です。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分に相当する額

この制度は非常に大きな控除効果がありますが、適用を受けるためには相続税の申告書を提出する必要があります(結果として納税額がゼロでも申告が必要です)。

注意:配偶者の税額軽減を最大限活用して配偶者に遺産を集中させると、次の相続(二次相続)で子どもたちの相続税負担が大きくなる場合があります。一次相続と二次相続をトータルで考えた遺産分割が重要です。

小規模宅地等の特例

被相続人が住んでいた土地や事業用の土地について、一定の要件を満たすと評価額を大幅に減額できる特例です。

区分 限度面積 減額割合
特定居住用宅地等 330平方メートル 80%
特定事業用宅地等 400平方メートル 80%
特定同族会社事業用宅地等 400平方メートル 80%
貸付事業用宅地等 200平方メートル 50%

たとえば、被相続人の自宅の土地(330平方メートル以内)の評価額が5,000万円の場合、80%減額されて1,000万円として計算されます。

この特例も、相続税の申告書の提出が適用の要件となっています。

相続税の申告期限と納付

申告期限

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期間内に、遺産の評価、遺産分割協議、申告書の作成・提出を行う必要があります。

納付方法

相続税の納付は、原則として申告期限と同じ日までに現金一括で行います。ただし、現金での一括納付が困難な場合には、以下の方法も認められています。

  • 延納:一定の要件を満たせば、最長20年の分割払いが可能(利子税がかかります)
  • 物納:延納によっても納付が困難な場合、不動産等の現物で納付が可能

その他の主要な控除・特例

未成年者控除

相続人が18歳未満の場合、18歳に達するまでの年数×10万円が控除されます。

障害者控除

相続人が障害者の場合、85歳に達するまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)が控除されます。

相次相続控除

10年以内に2回以上の相続が発生した場合、前回の相続税額の一部を控除できます。

生命保険金の非課税枠

被相続人が保険料を負担していた生命保険の死亡保険金には、500万円 × 法定相続人の数の非課税枠があります。

退職手当金の非課税枠

死亡退職金についても、生命保険金と同様に500万円 × 法定相続人の数の非課税枠があります。

相続税申告に必要な書類

  • 相続税申告書
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(遺言書がない場合)
  • 財産に関する資料(不動産の登記簿謄本、預金残高証明書、有価証券の残高証明書等)
  • 債務に関する資料(借入金の残高証明書、未払金の資料等)
  • 葬式費用の領収書

まとめ

相続税の計算は、基礎控除額の算定から始まり、各種特例の適用、遺産分割方法の検討など、多くの専門知識が必要です。特に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は適用要件が複雑であり、適切に活用するためには専門家のアドバイスが不可欠です。

申告期限(10ヶ月)は長いようで短く、遺産の調査や遺産分割協議に時間がかかることも多いため、早めの準備が大切です。

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